拝啓 井門義博です

拝啓 井門義博です

ポーランド国鉄のゼロサン

22年07月24日 20:54:24 | 海外蒸機

この写真も1980年頃の交友社『鉄道ファン』に出して居ますのでここに出してしまいます。 (ケチですみません)

PKP(ポーランド国鉄)のPm2、元々はドイツ帝国鉄道BR03です。

反対方向へ走り去るTy2(ドイツの52形)単機の後ろ姿が見えます。

(単回はまさかのお巡り蒸機?)

場所はベルリン〜ワルシャワの東西大幹線の北側、ポーランドの国土の中央やや西寄り、ビドゴシチ〜トルンで撮影しました。

東ドイツでは運用上圧倒的に便利なウィッテデフに交換され、前側の蒸汽ドームも取り去られるなど原形をとどめなかったゼロサンですが、ポーランドに取り残された機関車は美しい原形を留めた状態で使われて居ました。

東ドイツですら 1976夏 → 76/77冬 → 1977夏 の3シーズン其々長期滞在撮影中、他に一人の撮影者も見なかった(原因は西独人に対して東独は絶対立入禁止)のですが、ポーランドは蒸機撮影にはその10倍も障壁が高かったです。

駅でさっと撮影した機関車の写真はそれなりに残って居ますが、本格的な装備で撮影地を選んで駅間で撮影するのは不可能と信じられて居ました。 と言うのは撮影した蒸機ファンは一人の例外も無くカメラ・フィルムを没収され、国境まで連れて行かれて強制国外退去だったのです。

我々(増田・井門組)はワグナーデフ装備で美しい原形を残したゼロサンを捉えるべく作戦を立てました。

半年ほど前からポーランド・ワルシャワの鉄道博物館に日本の蒸機写真をまめに送り続け「我々は日本の蒸汽機関車ファンです。世界中で蒸汽機関車を撮影しています。貴方の国の美しい蒸汽機関車を撮影する許可証を是非ください」と言う手紙を送り続けたのです。

仕上げにツテを使ってワルシャワ駐在の商社員に鉄道博物館との通訳・交渉役をお願いしたのです。

日本で宿泊代を払い込んで「バウチャー」を持ってビザを貰いに東独大使館に行き、東独当局に日程を任せなくてはならない東独と違って、難しい前代未聞の交渉を完遂するまで撮影には行けないので宿泊は全て現地で交渉することにしてワルシャワに入り、鉄道博物館に通いました。 三日目にその許可証(この者たちはこういう趣味の者であるとでも書いてある書類)をゲットしました。

ゼロサンが居るかもしれないと見当をつけた場所での撮影が始まりました。

撮影初日だったかもしれません。 夕刻撮影を切り上げ汽車で次の場所に移動しようと駅に向かって歩き、あと10mで駅という瞬間、駅舎の中に潜んでいた警官隊がわっと躍り出てきて我々二人を円形に包囲しました。

二人を挟んで2列縦隊になった警官隊に連行されたのでした。 ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!と行進です。

許可証を見て関係各所に電話を掛けるやらの大変な1時間の尋問の後我々は無事解放されました。

目指すPm2はビドゴシチ〜トルンの客車列車牽引の仕業にPt47と共通運用で就いていました。

そんな数日を過ごした後、駅間ど真ん中での撮影を終えて駅から汽車に乗ったら車内は警官で混んでいます。 いつもは良い具合に空いているのになんでこんなにお巡りさんが汽車で移動するのだろう?と思いましたが乗り換え駅で我々が下車するとお巡りさんも全員一緒に降ります。 その瞬間また円形に包囲です。 そして二列縦隊で連行されました。

またザッ!ザッ!ザッ!ザッ!と連行されました。

驚いたことにあの日我々が撮影した普通列車の数々は皆「おまわり列車」だったのです。

どちらの駅に歩いてどの列車に乗るかわからない我々を捕まえるために全列車にたくさんの警官を配置して「おまわり列車」をず〜〜っと走らせていたのでした。

まさかの「おまわり列車」です。

ポーランドの思い出はお巡りさんも大きいですが、ポーランド人の優しさも大きな思い出です。 どこに行ってもすぐ友達のようになりました。 話題はバレーボール(知りませんでしたがポーランドが金メダル)とか猪木対モハメド・アリとかです。

ポーランドズロッチ(お金)の両替所が少なくて両替が出来ず二人とも何日も絶食で撮影を続けるということもありました。 我々の顔に「腹減った」とポーランド語で書かれていたのでしょう。 地元の若者にパンを貰いました。 当然我々はお礼を言って大喜びでパンを食べました。 美味しかったです。

縁を白く塗るのはいただけないですが驚くほど原形をとどめたゼロサン

砂箱も小振りでワグナーデフにも何の切れ目も入っていません。

運転室前窓の庇もそのままです。(写真は指2本で拡大できます)

予定に無かった物ですが、真横から見たゼロイチの比較画像をつけてしまいます。

ウールハイデ(ベルリン市内)の信号場で信号停止した珍しい状態です。

のちに動態保存された 01 2118-6 ですが2年前までは日本のC57やC62の様な形の後側1/3を切詰めたデフでしたが、原型と同じ長さの「C53の様な」長いデフに戻されました。 しかし中央部が取外し可能になっています。 ゼロイチとゼロサンは軸重20tと18tの違いですがボイラーのスカイラインはほとんど一緒です。 ドームの間隔(散り方)と火床両側のエアタンクが簡単に見分けられるポイントです。

ゼロイチは日本のC53より1年古いのですが動輪には小さな水掻きが付けられています。

そしてロッドの架かる所、短いスポークには徹底的な補強が付いています。

01−118 はシリンダーも新しい組立式に代わっています。

予定外だった話は終わりにして寝ます。

 


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