拝啓 井門義博です

拝啓 井門義博です

ニュルンベルク

09年09月15日 10:01:00 | 海外蒸機

1996-05 ニュルンベルクの居酒屋にて
写真;(少し細い)私の左が増田泉さん、右がデトレフ・メゴウさんです。

1996年、増田泉+井門義博コンビはバイエルン鉄道博物館(以後BEM)に招かれてドイツ一周の蒸機列車に添乗しました。

ツアー列車はメルクリン本社のあるゲッピンゲンからここニュルンベルク、ドレスデン、ベルリン、(バルチック海に突き出た)ザスニッツ、ハンブルグ、ハノーバー、ケルン、(国境を越えて)ルクセンブルグ、フランクフルトを回ってシュツットガルト近くのゲッピンゲンに戻る10日ほどの日程です。

列車を仕立てたのはメルクリン、S3/6のHO製品を売り出す為のイベントです。
(正確にはメルクリン・インサイダーツアー1996  インサイダーとはメルクリンのファンクラブ組織です)


運行するのはBEMです。


機関車はS3/6(1918年製)とゼロイチ(1928年製)の重連、客車は雑型14両編成で、募集されたツアー客が乗り込んでいます。
日本で言えばC51とC53が重連で長大編成の雑型客車を牽いて10日で全国一周するという話です。

事前に日本までドイツのカマ焚きの教本が送られてきました。
いざとなればカマ焚きです。
そして指示通り我々は寝袋持参です。

BEMは全員「勤め」のある鉄道ファンが休暇をやりくりしてボランティアで運行するわけです。
今回のツアーに張付く定年の東独機関士2人は大丈夫。
しかし何か事件が有って会社に帰ることになり人が足りなくなれば我々も運行を手伝う可能性が有ったのです。
当然機関士は免許が必要です。
車掌はドイツ語が必須だから無理。
「カマ焚きならお前らも嬉しいだろう」
という事です。

結果焚きませんでした。
あの巨大スコップ、巨大な火室、やれば腕が棒になります。
(が、ちょっとやってみたかった様な気もします。試しじゃなくて火夫を)
結局チャンスをみてカマを磨く程度のお手伝いでした。
S3/6は皆が磨くので綺麗ですが「汚れる次位」の01066は大きくて磨くのも大変です。
2m動輪の21本スポーク片側一つ磨くだけで相当ハードです。
ロッド、バルブギヤを磨いてやらないと撮る人はがっかりします。
ところが一日中走っているので磨くチャンスは滅多にありません。
結局現役時代よりも「かなり汚れた状態」で終始しました。


私はデカビデオ(報道用βカムBVW-400Aに巨大な広角レンズ装着)を持参です。
ですからスチル写真は殆ど撮って居ません、バカチョンでスナップ程度。
スチル写真は増田さんに任せた!

この時の記事は鉄道ファン誌96年10月号に8ページ(ほどだったと思います)で掲載されています。

このツアーの記事はそちらに任せて、今日は「ニュルンベルクのお話」です。

我々はBEMにニュルンベルクで合流しました。
機関区の乗務員宿舎が今日の宿です。
最初の写真は機関区近所での「来独歓迎の宴」です。


ニュルンベルク機関区の夜、扇形庫内の23型


ニュルンベルク機関区の夜、扇形庫内のS3/6


01-1100
BEMのゼロイチではなく三気筒のBR01-10です
このカマも動態ですが、今は火が入っていません。

ニュルンベルクの扇形庫は実はドイツの「梅小路蒸気機関車館」なのです。
多くのSLに混じり保存DLも置かれているところが違いでしょうか。
ドイツの一号機関車「アドラー号」(ただしレプリカ1935年製)も有ります。


翌朝01-1100をピットの中から

01-10は三気筒、最高速度140km/hです。
グレスリー式ではなく、三つ揃いのワルシャート式バルブギアを持ち、保守に別段の神経を使う程ではないようです。
日本のC53が保守に神経を要するグレスリー式(左右のバルブギアから取った合成力で中央シリンダーの弁を操作する)を採用したのは狭軌ゆえ中央シリンダー用のバルブギアが入ったとしてもスペースが無くて整備に支障があると判断したためです。


S3/6をピットの中から

S3/6は複式4気筒機関車、製造初年1908年ながら最高速度120km/h

複式4気筒というのは、1435㎜ゲージ内側に高圧シリンダを2つ並べ、その排気を外側の大直径低圧シリンダーに入れて蒸汽に二回仕事をさせる機構です。

日本の蒸汽機関車は明治時代に複式機関車があった(箱根越えのマレー式もその一つ)だけで機構の複雑なモノを嫌って燃費は悪いが保守の楽な単式に終始しました。

S3/6はバイエルン国鉄の機関車です。
C62と同じような大きさですが40年も古く、強力で、2割速く(動輪径1870mm)燃費が良い事が特徴の優秀な機関車でした。
第一次大戦の賠償としてフランスが要求した機関車です。
1920年ドイツ国鉄が成立後、18-4,5型となり、ゼロイチ誕生後も製造が続けられ、ラインゴルト牽引機としても有名です。

増田泉さんの解説が詳しいです。

http://www2.snowman.ne.jp/~masuda/S36_rep.htm





さて、時は2005年10月

デトレフから驚く様な写真が送られてきました






テレビニュースをデジカメで撮影したものです。

データは2005年10月18日午前0時33分です。
あの懐かしいニュルンベルクの扇形庫が火に包まれています!!








その後の現地視察写真です。
まだ放水が行われています。

名取さんのブログに焼失車両などの情報が出ています。

http://rail.hobidas.com/blog/natori/archives/2005/10/post_109.html

我々にとって、追分の機関庫火災は目を覆いたくなる惨事でした。

が、このニュルンベルクの扇形庫全焼の惨事に引き比べればずっとちいさな事件だと感じます。
梅小路蒸気機関車館が全焼する惨事を想像したくありません。

このニュルンベルクの扇形庫、グーグルアースの画像がこれです。
(現在のグーグルアースの画像もこのままにです)


2006-06


2006-10

翌2006年6月と10月の間で焼失車両に対する処分(解体または復元開始)が一気に進んだ様子です。

被災車両を復元する為の募金が行われ、01150など模型を購入すると一定額が実機の復元費用になる製品が出たりしています。

幸いにして日本よりも蒸機再生のための工場などが充実しているので一部の車両に於いては復活を果たしつつあるように聞きます。
ドイツの鉄道遺産保存が順調に行く事と日本で同様の事故が起こらない事を祈ります。



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