拝啓 井門義博です

拝啓 井門義博です

01逢いたや2012‘秋’Part2・3

12年12月30日 17:14:00 | 海外蒸機
01逢いたや2012‘秋’Part2  text&photo;水沼信之


ダルムシュタットに置かれている[01 1056]01-10型(-10は1000番台を表わします)3気筒140km/h

 オーストリアの学会が終了して、再びドイツに戻った。
 ドイツの秋は蒸機の記念運転が多数企画されていた。 10月3日は休日で01型機関車の西ドイツ改良型の3気筒エンジン1066号機や03型の運転が企画されていた。 旅客型機関車がまだ生きているのはうれしいことだ。 しかしどちらも直前になってキャンセルになってしまった。 ボランティアで運用されているので、機関車が不調だったり、乗客の集まりが悪かったりするとキャンセルしてしまうこともよくあるらしい。 事実、昨年つかの間見たネルトリンゲンの01 066はボイラーの修理が必要で今年は動いていない。 一日どう過ごそうか悩んでいたところダルムシュタットの博物館から機関車に乗せてあげるからおいでよとのメイルが来た。 フランクフルトから北へ向かいダルムシュタットを目指した。 列車は中央駅でなく東駅から発車する。さんざん迷い博物館へ着いた。






Mr.Marco Schumann

 秋の青空に小型の機関車が止まっている。 続く列車も2軸車客車が中心でかわいらしい。 運転室からディエテル ワフル(Dieter Wahl)さんが手を振っている。 機関車に昇ると、運転士のヴォルカージェンドリー(Volker Jenderny)さんと火夫のマルコ シューマン(Marco Schumann)さんが笑顔で迎えてくれた。
 ディエテルさんはジーメンスで永年働いていた。 定年後、自分の祖父の職業の蒸気機関車の運転手になって見たいと思ったそうだ。 今は機関士の免許を取得すべく見習い中なのだ。日本にはない機関士テツがここにもいた。 撮りテツ、乗りテツ、いろいろあれ、蒸気機関車運転テツは日本にはいない。 しかし、好きならば遂には自分の手で運転したくなるだろう。 究極の鉄道趣味を見た気がした。
 時間が近づくと家族連れが次々にやってきた。 一家で小旅行というところだろう。 列車は汽笛一声、バック運転で出発した。 心地よいブラスト音と共に森の中をどんどん進んだ。 15分程で深い森の中の終着駅についた。 かつては森を抜けて鉄道は続いていたという。 家族連れが楽しそうに機関車と写真を撮っている。








Mr.Dieter Wahl & Mr.Volker Jenderny






 この1841号機は地方の鉄道でよく使われていたタイプらしい。 ドイツの制式機関車ではないものの使いやすく、壊れにくく、燃費も良いそうだ。
 日本でも結局C11あたりが保存鉄道で使われていると同じ理由だろう。 帰りの列車は再び乗客を乗せドイツの秋の森を快走した。








01逢いたや2012‘秋’Part3  text&photo;水沼信之




 フランクフルトのホテルで秘書からのメールを開けた。

 「レンタカーにご要望のポルシェを予約しました。 パナメーラはご用意できます。 ポルシェ911はミュンヘンから前夜遅く1台が帰ってきますが確約できません。 どちらも同じ値段ですが当日、空港のレンタカー窓口で確認してください。」

 待望のポルシェ!円高のおかげで充分見合う値段だ。 翌朝は提携会社のハイヤーのベンツを空港のレンタカー屋さんへ向かわせた。 待っていたのはなんとブラックの911カレラ4GTSのオープンカーだった。
 会議の前日にフランクフルト歴史鉄道で01 118が久しぶりに走るとホームページに載っていた。 この機関車は長い間マイニンゲンの機関車工場で修理中だった。 2日間の会議を終わらせると、いよいよ01の追っかけの日がやってきた。
 残念ながら曇り空だがポルシェをなじませながらフランクフルトの東駅へ朝向かうと駅に一条の煙が上がっている。




 フランクフルト歴史鉄道の01型、原型機の01 118号機だ。 本秋にマイニンゲンの機関車工場で修理を終えたばかりのピカピカの機関車だ。
 末期まで活躍したこの機関車はしばしば日本の雑誌で紹介されている。 私が01を知るきっかけとなった鉄道ファン誌の名文、斎藤晃さんの「01逢いたや」に015は登場した。 その後増田さん、井門さんが東ドイツをまわり01の本を出版した。
 その「Der Latzen 01 lokpmptive in DDR」にはこの機関車がしばしば登場している。 国鉄時代編集長、山下修司さん鈴木達也さん達が1980年に東ドイツを訪問した時も、ザールフェルトで出会った機関車の一つで、キネマ旬報の蒸気機関車の最終巻ひとつ前号の記事にも登場した。
 その機関車が今も動態保存機として活躍している。 ゆっくり眺めると長いデフレクター、大きな赤い動輪、リベットの打たれたキャブ周り、均整がとれて美しい急行用蒸気機関車だ。 ただ残念なことに後ろに続く客車は2軸車も含めた比較的短い編成だ。 9時35分、列車は軽々と発車していった。





 私は急ぎ足で駐車場に戻り、ポルシェに飛び乗るとエンジンをかけた。 さすが01で列車は100km/hを超えて走っていた。 しかし最新型の911は軽く時速200kmを超えてアウトバーンをかっとんでいく。 かなりの強風とスリッピーな路面をものともせず、先回りができた。







 途中で列車はフォトランをしながらマンハイムへ向かう。 ここで最後尾に付け替え、逆位になり終着駅ノイシュタットまで向かった。 ここにも鉄道博物館がある。 18型の機関車が保存されている。 乗客たちはワインを楽しみながら、鉄道博物館を見学している。 帰りも01を追ってダルムシュタット中央駅で発車を見送った。


スポーク本数は直径10cmにつき1本と言われます。

C51、C53が17本 C51後半、C54、C55が18本、01は21本です。 ドイツでは共振の可能性を嫌って絶対に偶数は採用しないと聞きました。(井門)









 最終日はまるで日本の撮り鉄の様に車で「追っかけ」をしたが、なかなか孤独な作業だった。 ドイツの蒸気機関車保存がボランティア活動を中心になりたっているのを考えると、やはり乗車券を買って、乗り鉄の旅を楽しみ、お土産を買い込むほうが保村団体の収入になり、01存続のお手伝いになると思える。 なによりその方が地元ドイツのテツ仲間が増える。









 今回のツアーで私の01中毒は治った?今回は天候に恵まれなかった。 しかし、じっくり01を眺める時間があり、本当に美しい機関車であることを再認識した。 中毒は更に悪化してしまい、ますます01を夢見る。 来年もその先も私の‘01逢いたや’は続くのだ。
 私がドイツ型蒸気機関車ファンのなったきっかけとなった鉄道ファン誌の名著「01逢いたや」の著者、斎藤晃さんが健在であることを伺った。 一度御挨拶をしたいが僥倖に恵まれない。
 末筆ながら、この機会に素晴らしい記事を書いてくださったことに感謝したい。






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