拝啓 井門義博です

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D51 170 囚

10年08月19日 12:19:00 | 鉄道模型

D51 170 [人吉] 大畑のD51第3弾です。

そもそもIMONがD51を発売したのは、受け継いだ乗工社がD51を出していたからです。


最低限の開発期間で発売に漕ぎ着けられるからです。


IMONが目指しているのは「いわゆる国鉄制式蒸機」は全部製品化する事です。

されどどの形式をとっても開発は時間が掛かります。

そこで平行して先に進行できそうなD51をやろうと言う事になりました。

しかし、改良もしたいからそのままそっくり作るわけではありません。
ですからどうせならD51の中に開いた「穴埋め」を行うことに致しました。

① 戦時型、舟テンカマボコドームはまだ作っていなかった。

② 半流の中でも北海道の密閉改造が無かった。

この二つの穴を埋めましょうと言うことです。
(まだ他にもD51の中には穴は沢山ありますが・・・・)

戦時型改装機については

D511119 (北海道・ギーセルエジェクター)
D511118 (北海道)
D511153 (北海道・密閉改造)
D511058 (九州大畑重装備・ドーム載せ替え)
D511151 (九州大畑重装備・ドーム改造)
D511038 (九州門デフ)
D511076 (東北3000㍑重油タンク)

ナメクジ(半流)については

D51  1 (東北3000㍑重油タンク)
D51  4 (北海道・密閉改造)
D51 42 (九州)
D51 70 (北海道)(まだ発売していません)

といったところを発売しました。

しかし、どうせD51を作るなら標準も少しは作りましょう。
本格的には色々な形式を発売していった後でもう一回取り組むとしても、北海道と九州を結構やるから相乗効果が得られそうな番号を最低限作りましょう。

と言うことになりました。 そこで作ったのが

D51 241 (北海道・密閉改造・ギーセルエジェクター)
D51 170 (九州大畑重装備)

の僅か2つです。

穿った見方ならば「ギーセルエジェクターや鹿児島式集煙装置などを制作したからそれを利用した」と言えます。

D51241は国鉄最終蒸機列車の牽引機ですから「オール蒸機日本代表」のようなカマです。

D51170は、日本一の重装備D51「大畑ガマ」で唯一静態保存されて居るカマです。

D51170は人吉市蒸気機関車館に保存されて居るカマで、隣に同居していた「58654」が動態復帰してからは1台だけになって居ます。

そのD51170を動態復帰させて人吉~吉松を走らせようという企画もあると言うことですが実現したら素晴らしいですね。





D51170を語るのには生涯の大半を過ごした矢岳越えについて語らなくてはなりません。

日本三大車窓風景のひとつに数えられる「矢岳越え」人吉~吉松35kmは日本初のループ線と大畑、真幸二つのスイッチバックを組み合わせ明治42年(1909年)に開通「鹿児島本線」として軸重18.5tという重タンク機関車3100型による運行を開始しました。

大正3年(1914年) 板谷峠庭坂とともに人吉に4110型が配置され、長く矢岳越えを支えました。

昭和18年ごろから老朽化が目立つ4110型に代わってD51が投入されましたが、トンネルが多いため逆向きで牽引することしか出来ませんでした。
集煙装置無しでは運転室への煤煙の侵入が烈しすぎて乗務員失神事故の可能性大だったのです。
(また、D51の欠点としてやや後重心ですので逆向きの方が空転しにくかった筈です)

 そして板谷峠電化後の昭和24年、逆向きが正位のE10が配置されましたが、急曲線での空転が多く、線路も傷めるため矢岳越えでの使用は2ヶ月で諦め、やがて転属で去り、「逆向きD51」の苦闘が続きます。

昭和27年北陸本線のD51用に集煙装置が開発され(敦賀式)これをすぐに鹿児島工場で空気作動式として(鹿児島式)施工、ほぼ時を同じくして開発された680リットル重油タンクもドーム後方に搭載され、ついにD51による正向運転が実現、日本一重装備のD51の活躍が始まりました。

他線区でも見られた集煙装置や重油タンクに加え、ランボード上に200リットル補助重油タンクを搭載。
特に砂撒き管元栓に雨水を寄せ付けないためのドーム側面のヒサシが、日本中のいかなる非電化峠に比べ「矢岳越え」がはっきり一段上の険しさだったことを窺わせます。
重油タンクはボイラー搭載型のAタイプで、格別大きな敦賀式集煙装置をここだけが使用し続けたのも急勾配では不足しがちなD51の前寄りの軸重を稼ぐ目的が感じられます。

乗務員は酸素マスク一式を携行して乗務員席後方の横桟に引っ掛けて万一の停止に備えていました。

D51の活躍が長く続いた矢岳越えでしたが蒸機廃止の流れの中、遂に最後の時が訪れます。

昭和47年4月4日人吉~吉松間D51170とD51687の重連によるさよなら運転を実施、DD51に置換えられました。

D51170はこうしてさよなら運転に使われた後、大畑重装備機の中で唯一此処で保存されました。


九州独特の「石炭前寄せ」改造が為されています。


空気作用管は2系統に分けられた特徴的な配置です。


複式コンプレッサーを跨ぐランボードの「山」に関わらず直進している空気作用管。

IMONの蒸機は実物同様ボイラーとランボードの間が開いていますので自然に表現出来ます。


面白い位置に「架線注意」の標識が付けられています。

大畑は人吉~吉松での運用しかなかったので電化線とは無縁でしたが標識は付けられていました。


助士席側の補助重油タンクのみ残っていました。

補助重油タンクは末期には機関車から外されていく傾向にありました。

車歴;           日本車輌名古屋工場=694
1939-03-00 製造→配属;名古屋局1939-03-30 使用開始
1939-04-15 配置[名鉄達272];静岡
1945-11-18 人吉
1952-08-24 重油併焼装置取付
1952-09-15(人吉~吉松133列車)重油混焼試験実施
1952-09-24(吉松~人吉860列車)重油混焼試験実施
1954-10-27 集煙装置取付
1960-02-10 集煙装置交換
1968-05-07 全検
1972-04-06 休車
1972-04-18 廃車上申[鹿工車9]
1972-05-16 九州総局[達384]
1972-06-05 廃車[工車214];人吉→
1972-06-12 九州総局[達631]
保存;熊本県・矢岳駅(人吉市SL展示館)

参考文献; 沖田祐作・蒸気機関車表 (レールマガジン300号付録)


D51170はその「表情」で遠方から識別しやすいカマでした。

すなわち前側デフステーのボイラー側取付位置が高いので「へ」の字または「八」の字眉毛の様に見え、困った表情でやって来るカマだったのです。

番号が若くナンバープレートが短かったのも識別しやすさに繋がって居ました。



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