拝啓 井門義博です

拝啓 井門義博です

“ドレスデン蒸機祭”

15年06月04日 19:42:00 | 海外蒸機
水沼先生の“ドレスデン蒸機祭”レポートをお届けいたします。




01逢いたや 2015 春

序章、ドレスデン 1975

 ここに一冊の洋書がある。 題名はDie letzten 01-lokomotiven bei der DR, Masuda/Imonとなっている。 訳すと「ドイツ国鉄最後の01型機関車」で1981年に西ドイツ、フランク社より出版された原型01の本だ。 著者は増田泉、井門義博さんだ。 彼らは日本の蒸気機関車の運転が終了した頃からこの「世界の名機」に取憑かれたのだろう、1979年頃まで当時の共産圏、東ドイツへ通い続けた。

 当時は入国も簡単ではなく、入国後もしばしば警察に尋問されたという。 そうまでして彼らを惹き付けたのはドレスデン~ベルリン間を走る原型01が牽く国際急行列車だった。 それは本来の01型蒸気機関車の役目でありその魅力は筆舌に尽くせないものだったという。 今、再びこの本を開けるとドレスデンの町や、東ドイツの野原を走る01、ドレスデンの機関区で整備を続ける01が写っている。







 それから40年の歳月が流れた。

 ドイツでも蒸気運転はとっくに終了し、ドイツのお金“マルク”もなくなった。 秘密警察もベルリンの壁も“東ドイツ”という「国」自体がなくなってしまった。

 しかしこの国は機械好き、職人好きの国だ。 また彼の地に01が集結する日がやってきた。
 今年は01型蒸気機関車生誕90周年になるという。 それに合わせて01がかつての東ドイツの大都市ドレスデンに大集合するという。
 お祭は“ドレスデン ダンプロックフェスト”という毎年行われている蒸気機関車の祭典だ。 昨年一緒にノイエンマルクトへ行った大学生、松岡君はベルリンへこの4月から留学している。 彼の情報によるとドレスデンの博物館のホームページを見ると集合する01は9台になる。 これはなんとしても行かねばならない。

集結する機関車は

01 0509, Pressnitztalbahn

01 1066, UEF

01 202, Verein Pacific 01 202

01 118, Historische Eisenbahn Frankfurt

01 180, BEM Nördlingen

01 066, BEM Nördlingen

23 1097, IG 58 3047 e.V.

23 1019, LDC e.V.

52 8154, EMBB Leipzig

03 2155, "Berlin macht Dampf"

V60 1264, RIS Sachsen GmbH

E77 10

From Czech Republic the Diesel multiple unit M131.1280

これはなんとしても行かねばならない。

 4月15日、いつもの様にフランクフルト経由でドレスデンに着いた。 前日なので賑わっているかと思い鉄道博物館の入り口を訪ねてみると静まりかえっている。



 守衛が一人おり「明日は午前9時からだ」と教えてくれた。 松岡君は翌日夜にベルリンからやってくる。 ホテルへ引き返す。 かなり安っぽいホテルだ。 今晩はピザとビールのみとし明日に備えた。

第1日
 ..いつもの曇り空で目が覚める。 ホテルの前は線路で、貨物列車が次々と通過して行く。 時差で目が覚めてしまいもう寝れない。 ベンツを転がしドレスデン中央駅のドームを眺めながら博物館に向かう。 ドームはかなり大きい。 沿線の風景はどこかで見たことがある。 多分、増田泉氏井門義博氏の本で何度も出てきた駅だからだろう。

 今日は機関区のあたりに何筋かの煙が見える。 これは集結しているなと思い、わくわくしながら入り口へ向かった。
 今日は若いお兄さんが交通整理をしており、入場は10時からだという。
 がっかりした顔をすると、近くの陸橋を指差して「あそこに行けば写真とれるよ」と教えてくれた。 言われた通り博物館の端へ向かい陸橋を登った。
 登りきるとそこには夢のような風景が広がっていた。





 狭いラウンドハウスに01がずらりと並んでいる。 右端のドレスデン所属の 01 137 は静態だが、他は全て火が入っている。 フランクフルトの原型機 01 118、そして我らがネルトリンゲンの 01 066 と 01 180 が並んでいる。 遂に復活したのだ。
 その横にはスイスから来 た 01 202、3気筒のウルムからきた 1066、そして東ドイツ型の 01 509 だ。 さらに35型が2両、52型も構内を走り回っている。


ディーゼルに牽かれた 03 001 が中央駅で展示されるため、横を通過していった。

01202, 35型、そして本日走る 01 118 と 01 509 が次々とターンテーブルで転線し給水、出発の準備にかかる。




原型機01は3台が横並びだ。 井門さんや山下さんが見たら昇天しそうな光景だ。





 そして午前10時、ターンテーブルで回転中の 01 118 がホイッスルをならすと全機がホイッスルを鳴らして、いよいよお祭りの開始だ。







 幸運なことに曇り空の切れ間から日が当たりだした。 ターンテーブル上の蒸機の車体が輝きだす。 目の前で原型機がターンテーブルを1回転してくれる。



























 ネルトリンゲンの 01 066 は4年ぶりの動態復活だ。 私が2011年に逢い、嵌まったのもこの機関車だ。
 デフに“FDJ”とかいう変なステッカーが張ってある。 ドイツ青年団という意味らしい。 番号も末期の 01 2066-7 になっている。









 しげしげと眺めていると「ノブー!!」という大声がした。 振り返るとネルトリンゲンの蒸気機関士、デトレフ メゴウ氏が大股でやってくる。

 昨日、2両の01、01 066 と 01 180 を運転して8時間あまりかけてバイエルン地方ネルトリンゲン博物館から有火で回送してきたという。 なんと!松岡君も01の機関室に同乗させてもらったらしい。 この2台は4年間ネルトリンゲンでお邪魔する毎に修理中だった。 ついに2台とも動態になり目の前で蒸気を上げている!何とも感慨が深い。 デトレフと転車台の 01 118 をバックに記念写真を撮った。



 ここで鹿山さん、田柳さんというベテランにお会いした。 昨年ノイエンマルクトでも御一緒させて頂き、今回はこのまま一緒に01を追いかけることになった。 今日は午後にチェコの国境付近のチッタウに行く便が1便だけだ。 01 118 と 01 509 が担当機だ。 どちらも調子が良いらしく何度か走行シーンを撮影したが煙を吐かない。

 予習を全くしていなかったので日本へ国際電話し、お立ち台通信編集長の山下修司さんに撮影地を訪ねる。 終点のチッタウまで、電話をかけながらCクラスのベンツを走らせることにした。 今回もポルシェは選ばなかった。 あの車を運転していると楽しすぎて撮り鉄を忘れてしまう。 山下さん推薦の池の回りを狙うも、線路の両側は防風林、防雪林がずっと立ち並んでいる。 やむなく小さな駅のホームの端で構える。 01 509 を先頭に時速120km以上で目の前を通過していった。



 続けてまた小さな古い駅を見つけた。 ここは単線になっている。 駅名表示はNeukirch Ostと読める。 白い古風な駅舎だ。 防風林が切れるところが少なく、また、時間の余裕もない。 空はますます曇ってきた。 ここで勝負をかける。 今度は 01 118 が先頭、01 509 号機が後補機になり駆け抜けて行く。





 01 509 は長時間停車の駅で先頭機から列車の後に移り、後補機になったらしい。 ほとんど鉄道模型で遊んでいる「ノリ」だが変化があって撮る方も楽しい。 ただ 01 118 がやってくる時は曇りか煙は吐かないというジンクスは今回も守られた。
 最後に山下さんお勧めの大カーブを探しているとなんと列車が通過していってしまった。 今日は20分も早着だそうで、01 118 とは相変わらず縁が薄い。 列車のスピードは速くもう捉える機会はない、このままチッタウ駅へ向かった。 すでに列車は着いていた。


 乗客達はここからナローゲージの線へ乗り換える。 この鉃道はZittauer Schmalspurbahn という名前だ。 結解学氏の著書「ドイツの蒸気機関車」にはオーバーライズイッツ鉃道という名前で登場している。
 駅につくとあまり時間がなくすぐに出発してしまった。 このあたりは旧東独でナローゲージの鉃道が多く残っている。 チッタウ駅の小さなホームでこのナローの列車の発車を見送った。











 反対側には来週予定の特別列車が止まっている。 標準ゲージの貨車を乗せたフラットカーが繋がっている。











 本線の駅へ戻ると 01 118 と 01 509 が 方向転換の最中だ。 家族連れやテツ達がゆっくりと01との邂逅を楽しんでいる。 01 118 はこの日に合わせて銘版の機関区がドレスデンに代わっている。 長い間ドレスデンにいた同機にふさわしい演出だ。

























 帰りは行きに失敗したチッタウから数kmのところで一回目をやった。
 直線を01が飛ばしてくる。 ファインダーに映ったかと思うと凄い勢いで大きくなってくる。 01 509 が前だ。 今回も全然、煙は吐いていない。 両機、素晴らしいスピードで目の前を通過していく。 最後尾の 01 118 が珍しく黒煙を上げ2mの大動輪は大回転している。







 日本で撮り鉄をしていてもこの迫力には絶対ありえない。
 C61より断然大きいし凄みがある。 北斗星等より断然速い。 本場の標準軌の本線急行用機関車とはこういうものかと改めて思い知らされた。 01が現役だった20世紀はドイツと日本の性能の違いは半端ではなかったろう。

 最後は午後8時近くになった。 01 118 が前の重連で蒸気をあげながら通過して行った。 結局明るい日の下で煙を上がる原型機は今回もものにできなかった。 しかし01の迫力を再確認し大満足だ。







 夜は機関区で撮影会だが、すでにチケット売り切れで入れない。 デトレフともうまく合流できず、朝と同じ橋の上での写真で済ませた。 ライトアップが少々きつすぎる気がするがライトであざやかに赤い動輪が浮かび上がる。









 ホテルに戻ると松岡さんが待ってくれていた。 ホテルの上の小さなレストランで安いピザとビールで乾杯し、翌朝に備えた。





約40年前のドレスデン・アルトシュタット機関区です。


01 118 1977-08-09


1977-08-09

水沼先生の写真と見比べるとあまりに変わっていない事に驚愕します。

橋も、橋に付けられた照明も変わっていません。
ただ、背景に見えるゴミ焼却場らしきものは無くなっています。
旧東独地域の発展が何十年経っても遅れているという話は聞こえて来ます。

(この時代、勿論1ヶ月東独滞在して一人の撮影者にも遭いませんでした)


この写真は水沼先生から送られてきた驚愕の一枚です。

こんな夢の様な情景が展開されるとは・・・・

う~ん、悔しいです。

01原形タイプが多数配属されていた時代のドレスデン機関区は、明るい時間は所属機は殆ど出払っていて空っぽに近かったから余計に「夢」のような情景だと言う事が出来ます。

(もう一つ・・・ドレスデンでは扇形庫には頭から突っ込んでいました)

Die letzten 01-lokomotiven bei der DR の中身の写真にドレスデン・アルトシュタット機関区の情景が写されていますが、いずれも増田 泉さん撮影による他ならぬ 01 137(給水の水が溢れ出したシーン)と 01 118(転車台上)です。

(末期のドレスデン機関区配属の01は7~8両でした)




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